裏庭
裏庭へようこそ! 森クマのひとりごと、愚痴がつづってあるだけです。 見ないほうがいいかも…^^;。

「ふくしまからきた子」

震災から1年半たとうとしています。
自分の中でも、現在の状況をどう言いあらわしたものか・・・別に、わざわざ公表することもないしと考えていましたが、最近、少々考えが変わりました。
県内の状況をもっと、アピールしたほうがいいのかもしれないということです。
今後は、少しずつ、そういう機会を持つことにします。
(もっとも、県外の方が、どのくらいこのブログを見ているのか、そんなにはいないと思うので、
 あまり意味がないかもしれないけど・・・)

そこで、今日はタイトルのこの絵本について解説、疑問を。
ふくしまからきた子 (えほんのぼうけん)ふくしまからきた子 (えほんのぼうけん)
(2012/03/08)
松本 猛、松本春野 他

商品詳細を見る

まず、「ふくしま」と聞いて、県外の方はどう思うのか?
福島県という意味もあるけれど、私などはどちらかというと「福島市」という特定の地域を思い浮かべます。
実際、福島市内は通常の生活をしている区域のわりに、放射線量が高い地域です。
福島市から自主避難している人たちも大勢存在しています。
だから、タイトルの絵本の意味も、そもそもぐっと受け止め方がちがってくるのです。

正直、一読して、何を言いたいのかわかりませんでした。
反原発を言いたいのでしょうが、そのためにふくしまからきた子を登場させた意味が感じられないのです。
反原発にふくしまの子どもを利用しないで欲しいとさえ思いました。


作者はたぶん「福島県からきた子」をイメージしてるのでしょう。
その「ふくしまからきた子」は、お母さんと一緒にどうやらお母さんの実家に避難しているみたいです。
そして、おとうさんは「ふくしま」に残っている。
でも、あと20年は家にかえれないらしいし、おじいさんとおばあさんも避難していることから、自宅は警戒区域にあるようです。

ふくしまに残っている友達は、プールにも入れない、運動会もできない、外でサッカーもできない。できないづくしのようですが、昨年ならともかく、今年度は屋外プールの使用ができるようになったり、外での活動時間も増えてるし、私のいるところでは、サッカーもやってます。
そもそも、昨年だって、屋内プールに数回バスを出したり、体育館でまたは時間制限で校庭で運動会を実施した学校もたくさんありました。
こんな細かいことにケチをつけたいわけでなく、徐々に状況は変化しているといいたいのです。
この絵本の出版時期は、2012年4月。
ということは、執筆時期は3か月から6か月はさかのぼると思います。
当時はそうであっても、多くの人が絵本を手にする頃には、過去のことになっている。タイムラグがあるわけ。
でも、読んでいる人にそのタイムラグは伝わるのか?
『ああ、今でも、ふくしまの人たちは大変なんだ~』と、好意的に同情してしまうのではないかと思います。

そして、少女の悩みは何も解決していないのに、なぜか、最後には少年と笑ってサッカーをしている場面でおわります。
友人Sさん(県内在住)は、せめて、少女の立場を理解した少年が、次の試合を観に来いよと誘うぐらいでいいのでは?子どもたちの悩みは、こんな単純なものではないはず。と感じたそうです。
なんだか、安直にまとめた感じがぬぐえません。
放射能をなくしたいと思ったら、総理大臣になるのではなく、科学者になるのではないのかしら?

ためしに、やはり警戒区域から避難中の知り合いにこの絵本の感想を聞いてみました。
Hさんは、絵本をみてすぐいわさきちひろ関係者の作とわかり、「あら、買おうかな」と言ったものの、読後に私が「買いたい?」と聞いてみると、複雑な顔をして、どうして総理大臣という話になるのかな?何を言いたいんだろうねと首をかしげていました。
購買意欲は消滅したようでした。
もう一人の友人も、やはり釈然としないようでした。

後書きには、『避難したくてもできない人のほうが、ほんとうは多いのです』と書いてあります。
でも、警戒区域の人たちは、今も強制的に避難させられていて、その中の多くの家族が離ればなれに生活しているし、今も事故後の原発の収束のため作業に関わっている人たちが多くいるのです。

どうも、非難するばかりになってしまいましたが、
困惑しているというのが私たちの正直な感想です。
県外の方たちは(県内の方も)どう受け止めたのか、コメントしていただけると嬉しいです。

Comment

難しい・・・
今、手元に本がないので、blogで何書いたっけ?と見直しました。この絵本を読んで「福島の人可哀想」で終わらなければいいなあという危惧と、でも、原爆のことも考え直すきっかけになるならよいかもと思ってまあまあよく出来た本だと思った。巻末にちょっとだけ解説もあるし。
だけど、それは当事者じゃないからそう言えるのですよね。
私もお話のラストは安直な気がしましたが、当時避難してきた子と公園でトラブルがあって、せっかく避難してきた子の家族はまた福島に戻ったという信じられない出来事があったのを思い出し、そんなことがないようにという作者の願いがこもってのラストかとも思いました。(だからこの絵本のタイトルを見ると、チクリと胸が痛むのです)
森クマさんおっしゃるようにタイムラグはあって、当時とは状況が違っているのに、こういう本が出回って、まだこうなのか、福島は皆そうなのかと思われるのではという不快感は十分わかります。
あの当時は、首都圏でもホットスポットがあって、うちの小学校のあたりは測定しても問題になるような値は出なかったけれど、職員全員で側溝やプール掃除をし、除草作業や落ち葉拾いは子どもにさせない、ドングリ拾って工作するのもなしという1年でした。給食の食材に不安のある親はお弁当にさせていたし。放射能測定は今も毎月行っています。全て保護者や地域住民に安心していただくため。保護者によっては未だに神経質になっています。
だから、今現在は当事者じゃないけど、日本国中どこだって当事者になる可能性はあるわけで、この絵本に関しては問題が多いけど、何らかの形で、福島の避難地域の方々のことを書いた本は必要だと思うのです。福島の現状を知らせるには、どんな本がいいでしょう?
2012.08.28 23:58 | URL | nora-taka #5Y53f.0k [edit]
Re: 難しい・・・
nora-takaさん、真摯なコメントありがとうございます。

私も、非難するばかりではなく、どんな絵本だったら満足するのかな?と考えてみました。
既存の絵本に違和感を感じるのは、震災が継続しているという私自身の問題のせいかもしれません。
原発事故も放射能問題も、日常の生活と無関係には考えられない状態なので、
いかにも過去のできごとのように描かれた絵本にはどうしてもなじめないのでしょう。
反原発運動を否定するつもりはないのですが、
原発がゼロになっても、放射能問題は残るのです。
私の中では、放射能との共存(原発推進ということではないですよ!)をテーマにしたものを求めているのかもしれません。

2012.08.31 13:06 | URL | 森クマ #- [edit]
了解!
2012.09.01 00:00 | URL | nora-taka #- [edit]
フィクションとノンフィクション
夏だからなのか、原爆をテーマにした新しい絵本が増えているようだが、70年の時が過ぎ、事実が明らかになっているからなのか、私は冷静に受け止めることができる(子ども時代は、本当にあったことだとはとうてい思えず、目にするのも恐ろしかったが)。

一見同じテーマでくくられそうだけど、福島原発の事故は、未だにわからないことだらけで、将来の見通しもたてられないなかで、それでも日々の生活があって、悩みながらも生活は続く…
今その一部分を切り取ってみても(たとえ、どんなに沢山の断片を集めてみても)、全体像もひとりひとりの気持ちも伝わらないでしょう。
ノンフィクション(写真集や、体験記など)は、記録しておくという歴史的に大切な役割を果たしているし、科学的に解説された本も出来事を知る助けとなる。しかしフィクション(小説、絵本など)では、その作者の感じ方、考え方を知ることはできるけど、それだけ、という気がする。
大きな出来事のあとで、多くの作家の皆さんが作品として残したいという思いに駆られているのだろうと想像出来るけど、慌てずに少し冷静になって、感情も事実ももっと熟成させてから、出版してほしい。
「忘れないように」という心配も、勇み足となり、誤解を生み、多くの人々を傷つけてしまっては意味がない。

アメリカの9.11のあと、様々な出版物はどんな風に出されていったのか、私は当時のことを思い出せないが、やはり今回のように早い時期から出版されていたのだろうか?とふと思った。

2012.09.01 22:57 | URL | なべよ #3un.pJ2M [edit]
コメントありがとう
現在のなべよさんの立ち位置ならではの、冷静、適切なコメントありがとうございます。

そうなんです。
ノンフィクションなら、場所や時期も特定されているので、そんなこともありだなと共感できるんです。
でも、フィクションとなると・・・
>今その一部分を切り取ってみても(たとえ、どんなに沢山の断片を集めてみても)、全体像もひとりひとりの気持ちも伝わらないでしょう。

まったくその通りだと思います。
これについては、旅行中に思い当たることに遭遇したので、そちらの報告もかねて述べたいと思ってます。


2012.09.02 10:30 | URL | 森クマ #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://uraniwa.blog7.fc2.com/tb.php/1165-1f63c6ff